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第十一巻 軟玉の数珠

第十一巻は短編集。表題作「軟玉の数珠」を含め、10の作品が収められています。

「軟玉の数珠」というのは、他の作品でもたびたび登場した、ファンドーリンの愛用品。精神を集中させるときに、この数珠をジャラジャラ触るのが、彼の癖です。

各作品は、他の巻で描かれた出来事の合間に起こったエピソードがテーマ。日本赴任時代の話から、はてはアメリカ西部での冒険まで、時代・場所ともにバラエティに富んでいます。

そんでもって、それぞれに古今の有名な推理小説などをモチーフにしているようです。

「バスカコフの大蛇」は、まさにシャーロックホームズの「バスカヴィルの犬」のオマージュですね。

また「塔に囚われた娘」では、当のホームズやアルセーヌ・ルパンまで出てきます。

ということもあり、この作品は、以下の皆様に捧げられております。たぶん、第一話の「シグモ」は円朝のオマージュ、第二話の「テーブルトーク 1882年」はエドガー・アラン・ポーのオマージュ、…というふうに、それぞれの人の作風をモチーフったのだと思われます。↓↓

各作品の詳細については、下記↓↓一覧表のリンクからどうぞ。

収録の短編作品 一覧

題名原題作品の舞台内容
シグモ(死蜘蛛)Сигумо1881年・横浜元ロシア外交官の死に関わる、妖怪”シグモ”の謎を解く。
テーブルトーク 1882年Table-talk 1882 года1882年・モスクワ公爵令嬢の失踪事件を、サロンで聞いた話だけを頼りに解決する。
木端の人生からИз жизни щепок1883年・モスクワ鉄道会社社長の毒殺事件を捜査する。
軟玉の数珠Нефритовые чётки1884年・モスクワ中国の賢人伝説に関わる「軟玉の数珠」と、古物商殺人事件の謎を解く。
バスカコフの大蛇Скарпея Баскаковых1888年・モスクワ郊外?のパフリン郡田舎地主の怪死事件と、聖なる大蛇伝説の謎を解く。
0.1パーセントОдна десятая процента1890年・モスクワ&ペテルブルク動機も証拠もない、「0.1%の偶然」で起きた殺人事件の謎を解く。
ブリストルのティータイムЧаепитие в Бристоле1891年・英国ブリストル痴呆の老伯爵の失踪事件を解決。
夢の谷Долина Мечты1894年・アメリカ西部 ワイオミング州ドリーム・バレー街を荒らしまわる盗賊団と、伝説の「首なしネイティブアメリカン」の謎を解く。
世界終末の前にПеред концом света1897年・ロシア極北の村々分離派ロシア正教信者たちの自殺事件を解決。
塔に囚われた娘、あるいは、短いが美しい、三賢人の道Узница башни, или Краткий, но прекрасный путь трёх мудрых1899年の大晦日・フランス ボー・ガルニー城シャーロック・ホームズと共に、大富豪を脅迫するアルセーヌ・ルパンと対決。

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