TOP >エラスト・ファンドーリンのシリーズ > 軟玉の数珠> バスカコフの大蛇
シャーロック・ホームズの「バスカヴィルの犬」をモチーフにした作品。田舎の集落で、大蛇伝説をもとにした殺人事件をファンドーリン&チュリパノフが解決します。
原題名は「バスカコフ(一族)のスカルペヤ」というのですが、スカルペヤというのは一般名詞ではないようです。作品の中で解説されていますが、モスクワ郊外パフリン郡に伝わる、聖なる大蛇の名前だそうで。
語源は、古代エジプトの神スカラベにさかのぼるそうな。そんな伝説が、本当にロシアにあるのかは不明。
おそらくいろんな部分が「バスカヴィルの犬」のオマージュになっているのでしょうが、「バスカヴィル」を読んでいないので分かりません。
第五巻で登場したチュリパノフが再び出てくるのが、なつかしくて良いでございます。
ファンドーリンとマサ以外の登場人物たち。
チュリパノフ | 第五巻「スペードのジャック」、「装飾家」にも登場した、ファンドーリンの部下。今回は、多忙なファンドーリンの代わりに、事件を捜査する。 |
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ブリノフ | パフリン郡の長官みたいな人。よくしゃべる。狩猟が趣味。 |
ソフィヤ・バスカコヴァ | 地主の女性。その領地をバスカコフカと言うらしい。 |
セルゲイ・バスカコフ | ソフィヤの一人息子。アフガンで従軍中に死亡。 |
ワルワーラ | ソフィヤの養女。ソフィヤとその息子セルゲイの急死により、ソフィヤの土地屋敷を相続することになる。 |
ペトロフ | 民俗学者。ペテルブルクから、民間伝承の調査のため、バスカコフカに滞在中。 |
サムソン・クラシェニンニコフ | ワルワーラの使用人。 |
ゲーニャ(アンゲリーナ) | サムソンの娘。美女。たぶん、第五巻「装飾家」に出てきたアンゲリーナと同一人物でしょうな。 |
パパーヒン | ワルワーラから土地を買おうとしている金持ち。 |
マフメートシン | 同じく土地を買おうとしているタタール人。 |
酔っ払いの農夫 | チュリパノフの大蛇狩りに、地元民の中で唯一参加したおっさん。 |
ネタバレにならない程度に解説。この作品は日本語訳が出ていませんが、英訳があるので、結末はそちらでご確認ください。
パフリン県で、地主のバスカコヴァ夫人が急死した。バスカコフ一族に伝わる、伝説の大蛇を見て、ショック死したという。多忙なファンドーリンは、代理でチュリパノフに捜査を命じる。
チュリパノフは現地で調査し、屋敷のまわりに、蛇の這い跡を発見。民俗学者のペトロフから、バスカコフの聖なる蛇伝説を聞く。
そうやっている間に、屋敷を受け継いだ養女ワルワーラと、使用人のクラシェニンニコフも大蛇にやられて死亡。チュリパノフは警察を動員して蛇狩りを行うが、うっかり手をかまれてしまい…。
アクーニン作品でおなじみの、画家イーゴリ・サク―ロフ氏による挿絵がついています。
大蛇にからみつかれてお亡くなりのクラシェニンニコフと、ぶったまげるチュリパノフ。後ろで気絶しているのは、クラシェニンニコフの娘のゲーニャ。このヘビは、「アムールあおだいしょう(正確な和名不明)」ということですが、ネット情報では、大きくなっても2メートルくらいとか。この絵はちょっと大蛇すぎですね。 | |
バスカコフ一族の領地バスカコフカ。すごいど田舎だが、鉄道建設が決まっているので、別荘地として発展する見込み。 |