TOP >エラスト・ファンドーリンのシリーズ > 軟玉の数珠> バスカコフの大蛇

第十一巻 軟玉の数珠/バスカコフの大蛇

シャーロック・ホームズの「バスカヴィルの犬」をモチーフにした作品。田舎の集落で、大蛇伝説をもとにした殺人事件をファンドーリン&チュリパノフが解決します。

原題名は「バスカコフ(一族)のスカルペヤ」というのですが、スカルペヤというのは一般名詞ではないようです。作品の中で解説されていますが、モスクワ郊外パフリン郡に伝わる、聖なる大蛇の名前だそうで。

語源は、古代エジプトの神スカラベにさかのぼるそうな。そんな伝説が、本当にロシアにあるのかは不明。

おそらくいろんな部分が「バスカヴィルの犬」のオマージュになっているのでしょうが、「バスカヴィル」を読んでいないので分かりません。

第五巻で登場したチュリパノフが再び出てくるのが、なつかしくて良いでございます。

登場人物

ファンドーリンとマサ以外の登場人物たち。

チュリパノフ第五巻「スペードのジャック」「装飾家」にも登場した、ファンドーリンの部下。今回は、多忙なファンドーリンの代わりに、事件を捜査する。
ブリノフパフリン郡の長官みたいな人。よくしゃべる。狩猟が趣味。
ソフィヤ・バスカコヴァ地主の女性。その領地をバスカコフカと言うらしい。
セルゲイ・バスカコフソフィヤの一人息子。アフガンで従軍中に死亡。
ワルワーラソフィヤの養女。ソフィヤとその息子セルゲイの急死により、ソフィヤの土地屋敷を相続することになる。
ペトロフ民俗学者。ペテルブルクから、民間伝承の調査のため、バスカコフカに滞在中。
サムソン・クラシェニンニコフワルワーラの使用人。
ゲーニャ(アンゲリーナ)サムソンの娘。美女。たぶん、第五巻「装飾家」に出てきたアンゲリーナと同一人物でしょうな。
パパーヒンワルワーラから土地を買おうとしている金持ち。
マフメートシン同じく土地を買おうとしているタタール人。
酔っ払いの農夫チュリパノフの大蛇狩りに、地元民の中で唯一参加したおっさん。

ストーリー

ネタバレにならない程度に解説。この作品は日本語訳が出ていませんが、英訳があるので、結末はそちらでご確認ください。

モスクワ郊外の田舎で、地主の女性が怪死。

パフリン県で、地主のバスカコヴァ夫人が急死した。バスカコフ一族に伝わる、伝説の大蛇を見て、ショック死したという。多忙なファンドーリンは、代理でチュリパノフに捜査を命じる。

チュリパノフは現地で調査し、屋敷のまわりに、蛇の這い跡を発見。民俗学者のペトロフから、バスカコフの聖なる蛇伝説を聞く。

そうやっている間に、屋敷を受け継いだ養女ワルワーラと、使用人のクラシェニンニコフも大蛇にやられて死亡。チュリパノフは警察を動員して蛇狩りを行うが、うっかり手をかまれてしまい…。

挿絵集

アクーニン作品でおなじみの、画家イーゴリ・サク―ロフ氏による挿絵がついています。

大蛇にからみつかれてお亡くなりのクラシェニンニコフと、ぶったまげるチュリパノフ。後ろで気絶しているのは、クラシェニンニコフの娘のゲーニャ。このヘビは、「アムールあおだいしょう(正確な和名不明)」ということですが、ネット情報では、大きくなっても2メートルくらいとか。この絵はちょっと大蛇すぎですね。
バスカコフ一族の領地バスカコフカ。すごいど田舎だが、鉄道建設が決まっているので、別荘地として発展する見込み。

「軟玉の数珠」TOPへ戻る

エラスト・ファンドーリンのシリーズTOPへ戻る