TOP >エラスト・ファンドーリンのシリーズ > 軟玉の数珠> 夢の谷
アメリカ西部劇的な中編。かつてゴールドラッシュに沸いたがさびれ、モルモン教徒とロシア人が入植した"ドリーム・バレー"という場所が舞台。
現地を荒らしまわる「黒覆面の盗賊団」を追ううちに、ファンドーリンたちは、伝説の首なし亡霊ネイティブアメリカンと対決することになります。なんかスリーピー・ホロウの伝説みたいですな。
ファンドーリンとマサ以外の登場人物たち。
ロバート・ピンカートン | "ナショナル・ディテクティブ・エージェンシー"の社長(?)。実際に、アラン・ピンカートンという人が設立したそういう組織があったそうです。アメリカ人なら知ってるんでしょう。個人的には、アメリカ史には興味ゼロ。 |
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スター大佐 | アメリカの大西部で、ひと山あてた大富豪。実はロシア出身。ドリーム・バレーに住むロシア人移住者を盗賊から救うため、ファンドーリンに依頼する。 |
コーク・カリガン | ドリーム・バレーの地主。 |
エシュリン | カリガンの娘。 |
"ラトラー"・テッド | エシュリンの婚約者。 |
メルビン・スコット | ドリーム・バレーに近い町スプリットストーンで、雑貨屋を営む。本業はピンカートンのエージェント。 |
ワシントン・リード | スプリットストーン住民。アフリカ系。迷信深い。 |
ルーコフ | ロシアからドリーム・バレーに移住した、社会主義共同体の首長。 |
ナースチャ | ロシア人集落に住む美女娘。 |
使徒マロニー | ドリーム・バレーに定住したモルモン教徒の長。 |
"割れ岩" | 開拓時代に暴れまわった、ネイティブアメリカンの酋長。つかまって絞首刑になるが、体がでかすぎて、重みで首がちょん切れた。その後、首なしの亡霊として、ドリーム・バレーをさまよっているらしい。 |
ネタバレにならない程度に解説。この作品は日本語訳が出ていませんが、英訳があるので、結末はそちらでご確認ください。
ロシア出身の大富豪スター大佐は、ドリーム・バレーのロシア人入植地が「黒覆面の盗賊団」に悩まされていることを知り、アメリカで探偵として有名になったファンドーリンに、対応を依頼する。
ファンドーリンとマサは、鉄道で西部に向かう。さっそく黒覆面の襲撃を受けるが、なんとか撃退する。
ドリーム・バレーに近い町スプリットストーンに向かう途中、ワイルド美女エシュリンと出会う。スプリットストーンの酒場で、彼女の婚約者ラトラー・テッドと決闘することになるが、エシュリンの仲裁で事なきを得る。
ファンドーリンは、ドリーム・バレーのロシア人入植地を訪問する。さらに、同じくドリーム・バレーに住むモルモン教徒の集落も訪問する。
モルモン教徒たちは、盗賊ではなく、首なしネイティブアメリカン酋長"割れ岩"の亡霊が出たのでおびえている。ファンドーリンは、西部のスペシャリストであるメルビン・スコットの協力を得て、いろいろ調べる。
モルモン教徒の依頼で、ファンドーリンはワシントン・リードと共に、亡霊に首を返して退散してもらうことになる。もののけ姫みたいですね。しかし失敗して、恐れをなしたモルモン民衆は、村を棄てて逃げ出す。
ロシア村で、美女娘のナースチャが、黒覆面たちにさらわれた。保安官に対応を丸投げされたファンドーリンは、スコットやロシア人移住者たちと、盗賊団の本拠を襲撃する。計画は失敗し、スコットは死亡。ロシア人たちも村を棄てて逃げ出す。
ファンドーリンとマサはなんとか逃げ出し、ついでに地下で金鉱を発見する。
発見された金鉱のおかげで、全ての謎が明らかになる。一件落着かと思いきや、ある決心をしたファンドーリンは、彼の「人生最大の冒険」に挑むことになる…。
アクーニン作品でおなじみの、画家イーゴリ・サク―ロフ氏による挿絵がついています。
スプリットストーンの酒場"インディアンの頭"にて。エシュリンの恋人ラトラー・テッドとトラブルになるファンドーリン。 | |
黒い覆面の盗賊団を追って、モルモン教徒の集落にやって来たファンドーリン。 | |
黒覆面盗賊団の本拠地を征伐する一同。ファンドーリン、マサ、スコット、リードと、ロシア人入植者たち。 | |
カウボーイ姿のマサ。この人はいつも楽しそうですな。短足O脚…。 | |
西部の大富豪スター大佐。 | |
ロシア人共同体の長ルーコフ。 | |
エシュリン。 ドリーム・バレーの地主カリガンの娘。いわゆるじゃじゃ馬というやつです。 | |
ピンカートンの現地エージェント、メルビン・スコット。悪そう。でも実は、乱暴な西部の社会に疲れているらしい。 | |
ワシントン・リード。お化けネイティブアメリカン"割れ岩"の瓶詰め生首を持っている。 | |
西部の町スプリットストーン。 |