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第十一巻 軟玉の数珠/シグモ(死蜘蛛)

ファンドーリンが、日本で妖怪と戦う?お話。1881年の横浜が舞台になっています。

テーマは、ロシア人元外交官の変死事件。現場の痕跡などから、妖怪の犯行ではないか、ということになるのですが…。

夏に起こった事件の話なので、怪談のような感じで、なかなか趣がある作品です。

もともとは、2004年に刊行されたエッセー&短編小説集「墓場の物語」に収録されていました。

登場人物

ファンドーリンとマサ以外の登場人物たち。

メイタンもと外交官のロシア人。日本女性と結婚し、ロシア国籍も名前も捨ててしまった。ついには出家して、「メイタン」という名前に。法名は「悟りを求める」という意味だ、と書かれていますが、ということは「明探」?「瞑探」?変な法名ですね。
サトコメイタンの日本人妻。明治時代に、女性の「○○子」という名前は一般的ではなかったはずですが…。
アキコメイタンとサトコの娘。生まれつき足が不自由。
ソーゲン寺の住職。寺の名前はロシア語で「徳の増大」と書かれていますが、ということは「大徳寺」?
エミ・テラダサトコの友人。顔は普通に美女だが、体は幼児なみの大きさしかない、という特徴を持つ。
ケンスケエミの召使で、いつもエミを背負子でおぶっている。ファンドーリンよりも背が高い。
シルヴェスター横浜外人墓地の番人。イギリス人。浪人に襲われ、片足を失った。
アラキ死亡したメイタンの第一発見者。
ヴェーベル横浜駐在のロシア公使。ファンドーリンの上司。

ストーリー

ネタバレにならない程度に解説。この作品は日本語訳が出ていませんが、英訳があるので、結末はそちらでご確認ください。

ロシア人の修行僧が、妖怪に襲われて変死。

元外交官で、日本人妻と結婚し、ロシア国籍を捨てたメイタン。出家して寺に住んでいたが、ある朝、風呂で変死体となって発見された。

首筋に牙の跡があり、血が残らず吸われていたことから、皆は妖怪"シグモ(死蜘蛛?)"のしわざだと噂する。ファンドーリンはアラキから、野良犬たちが騒いでいたことを聞き、不審に思う。

外人墓地の番人シルベスターは、日本人を嫌悪しており、実に怪しい。一方、何かに気付いたファンドーリンは、「今夜中に事件は解決する」と、住職のソーゲンやメイタンの妻サトコに告げる。白い着物に着替え、深夜の墓地に出かけるが…。

挿絵集

アクーニン作品でおなじみの、画家イーゴリ・サク―ロフ氏による挿絵がついています。

風呂でお亡くなりのメイタンと、第一発見者の修行僧アラキ。後ろで倒れているのは、メイタンの妻のサトコ。

右上の写真は、体だけ子供なみに小さい女性エミと、彼女を背負って歩く召使のケンスケ。
ファンドーリンも驚いた、日本の巨大グモ。アシダカグモというやつで、ゴキブリを食べてくれる益虫ですが、でかい&きもい&動きが速いので、家に出たら厳しいですね。

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