第一巻「児童文学」の別バージョン的な作品。第一巻は少年エラストが主人公でしたが、今回はその双子の妹ゲーリャ(アンゲリーナ)が主人公。
第一巻と同じで、世界を救うための宝石「楽園の林檎」をゲットするため、ゲーリャがタイムスリップの冒険をします。
第一巻では「タイムホール」を通ってでしたが、今回は、夢の中から祖先の意識にのりうつる、という方法。かくして、ゲーリャは1914年の曾祖母アポリナーリヤにのりうつります。
で、1914年のモスクワで大冒険…かと思いきや、フツーに学校に行ったり不良少年と恋愛したり…なんか犯罪街の悪党婆と対決したりもしますが、肝心の「楽園の林檎」探しは全く進まず。本筋とあまり関係ない話が続きます。
どうなることかと心配しましたが、最後には第一巻と連携するような形でエンディング。もうちょっと話をはしょってもらいたいところです。
なお、アクーニン氏のストーリーをもとに、グロリア・ムーという人が書いたということになっていますが、このグロリア・ムーさんがどんな人なのか不明。他に小説が1作品あるようですが、名前はロシア人っぽくないですね。
アンゲリーナ・ファンドーリン | 通称ゲーリャ。主人公。11歳の少女。ニコラス・ファンドーリンの娘で、エラスト・ファンドーリンの孫。第一巻「児童文学」の主人公エラストJr.の双子の妹。学校では演劇部に入っている。 |
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リュシンダ・グレイ | ゲーリャの遠い親戚で、ゲーリャに世界を救うミッションを与えるためやってくる。名前からして、ニコラスシリーズ第四巻「鷹と燕」の主人公レティツィヤ・フォン・ドールンとルパート・グレイの子孫ですね。 |
アポリナーリヤ・ルインジナ | ゲーリャの曾祖母で美少女。転んで頭をぶつけて意識不明だったが、そこに時空を超えてきたゲーリャの意識が幽体離脱的に入り込む。 |
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ワシーリー・サベリエヴィチ | アポリナーリヤの父。医師。 |
アーグラヤ・チホノブナ | アポリナーリヤの母。背が高い。 |
アンナ | アポリナーリヤ家の料理女で19歳。 |
"悪の力" | アポリナーリヤ家で飼われている黒ネコ。変な名前。 |
シュール | 犯罪街ヒトロフカに住む孤児の青年。 |
バーバ・ヤシャー | シュールの親戚の老婆。孤児たちを使って盗みをさせ、上納金を巻き上げている。バーバ・ヤガーという伝説の魔女にちなんでこう呼ばれているのだと思われます。 |
リヴァノワ | アポリナーリヤが通う女学校の校長。 |
ローゼンクランツ | 化学者。 |
メラニヤ・パブロフスカヤ | 権力者の夫人。 |
オリンピヤ・ブリャンチャニーノワ | わがまま少女。父親のブリャンチャニーノフ将軍が、「楽園の林檎」を持っている。その辺の事情は、第一巻でも描かれています。 |
ネタバレにならない程度に解説。
5年生のゲーリャは、学校でやや孤立している。それはともかく、突然現れた謎の親戚リュシンダの指示で、世界を救うため、神秘の宝石「楽園の林檎」を探すことになる。
夢を使った憑依みたいなので、ゲーリャは1914年の曾祖母アポリナーリヤにのりうつる。100年前の世界に驚きながら、馬車にひかれた子供を助けたり、学校に通ったりする。あるいは孤児の青年シュールと恋愛的になったりする。それから飼い猫がいなくなったりする。
というどうでもいい話が続く中、ようやくミッションが動いて、ゲーリャは化学者ローゼンクランツと接触する。
ゲーリャはローゼンクランツと暴漢に襲われ、シュールに助けられる。学校の試験をなんとかパスする。それからいなくなった猫を見つける。街でぶつかったパブロフスカヤ夫人に、盗みの疑いをかけられる。捨て子を虐待し利用する悪婆バーバ・ヤシャーの悪だくみを阻止しようとする。
という感じで、あいかわらずどうでもいい話が続く。「楽園の林檎」探しはちっとも進まない。何だこの小説。
そんなこんなが過ぎて、ようやくゲーリャはブリャンチャニーノフ将軍邸にある「楽園の林檎」を探しに行く。無事たどりついて、「保護薬液」を塗る。これでミッション終了。
と思ったら、悪婆バーバ・ヤシャーにとっ捕まる。危機一髪だが、なんとか助かり現代に戻る。
現代で家族と再会。兄のエラストとも再会。これで安心と思いきや、モスクワの街をぶらついていたエラストとゲーリャは、ある重大な秘密を発見するのだった…。