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第四巻 鷹と燕

第四巻は、海賊船に乗って宝探しに出かける、海洋冒険小説。スチーブンソンの「宝島」や、映画パイレーツオブカリビアンに触発されたのではないかと思われます。

例によって現代と過去の二部構成。現代は、ニコラスとおばさんのシンシヤが、クルーズ船「ファルコン(鷹)」号で宝探しに出かけます。一方、過去の1702年では、ファンドーリン一族の先祖のレティツィヤが、海賊船「リロンデール(燕)」号に乗って、宝探しの冒険に巻き込まれます。

ニコラスもレティツィヤも、探すのは、伝説の海賊ジェレミー・プラットが隠した財宝。

宝のありかは、マザーグースみたいな子供の詩に暗号として織り込まれていますが、はたしてうまく見つかるのか。

題名の「鷹と燕」というのは、ニコラスとレティツィヤが乗る船の名前ですが、一方でレティツィヤとイギリス船長グレイの恋愛にも絡んできます。イケメンで強くて金持ちのグレイが「鷹」で、器量がいまいちで一文無しでファザコンのぱっとしないレティツィヤが「燕」というわけですな。

大海原を舞台に展開する大冒険。まさに海はロマンであります。

登場人物

ニコラス以外の登場人物たち。

現代の登場人物

シンシヤニコラスのおばさん。イギリス人。独身。ニコラスを無理やりカリブ海クルーズ旅行に誘う。
デロニージャージー島出身のイギリス人。宝探し会社「サン・モーリス・リサーチ・リミテッド」の創業者の一人。
ミニョンフランス人の法律家。宝探し会社「サン・モーリス・リサーチ・リミテッド」の創業者の一人。
フレッドフランス領の小アンティル諸島に住む漁師でガイド。

1702年の登場人物

”私”1702年の部分は、このキャラの一人称で語られているのですが…その正体は、日本の離島出身の黒いオウム。いや、日本にオウムなんてあまりいませんけど…。仙人みたいな「師匠」に謎の”気”を授けられて、何百年も生きている。そんなんありですか。
レティツィヤ・フォン・ドールン1702年パートの主人公みたいな娘、25歳。ファンドーリン一族の先祖の一人。ややファザコンの気配あり。
フェルディナントレティツィヤの父。第一巻「アルティン・タラバス」に出てきたコルネリウス・フォン・ドールンの兄。モロッコの海賊に捕まっている。
ルフェーブルフランスの港サン・マロの有力者。「アルマートル」という肩書だそうで、船主みたいなものか?金にがめつい男。
デゼサール私掠船「リロンデール(ツバメ)」号の船長。
ケルビヤン(パパ・ポム)リロンデール号の航海長。飲みすぎで階段から転げ落ち、航海に出れなくなる。
ハリー・ローガンリロンデール号の代役航海長。アイルランド人。
カバーン(”イノシシ”)リロンデール号の砲術長。デゼサール船長の弟。
ゴーシュ(”左”)とドロワ(”右”)リロンデール号の航海士。カバーンの双子の息子たち。
サリエーリロンデール号に乗りこんでいる、フランス政府の監察官。船内でのニックネームは”ダニ”。
プラヌィラ(”ずる男”)リロンデール号の航海士。
アストリフリロンデール号に乗り組みの牧師。もとは外科医。
ルパート・グレイイギリス船「マーメイド」の船長。優秀・勇敢で美男。
ジェレミー・プラットイギリスの伝説的な海賊。

ストーリー

ネタバレにならない程度に解説。

ニコラスはカリブ海クルーズ船で宝探しへ。

おばさんのシンシヤに、強引にカリブ海クルーズに連行されたニコラス。しかしシンシヤの狙いは、実は海賊の財宝探しだった。

フォン・ドールン一族の先祖から伝わった古手紙に、宝のありかが書かれているという。

ニコラスとシンシヤは、宝探しのパートナーであるデロニー、ミニョンと共に、宝のあるサン・モーリス島へ向かう。クルーズ船にいた謎の黒いオウムも、なぜかついてくる。

一方1702年、レティツィヤは父を救うため、大海原へ。

時は変わって18世紀、レティツィヤ・フォン・ドールンは、モロッコで海賊に捕まった最愛の父を救うため、フランスの港町サン・マロにやってくる。

船主ルフェーブルは、勃発したスペイン継承戦争を口実に、いろいろ値段を釣り上げてくる。レティツィヤは、男装し、医者に扮して、「リロンデール」号に乗って船出する。たまたま助けた黒いオウムも連れていく。

退屈な航海が続く中、神父アストリフの協力で、レティツィヤはなんとか医者のふりをする。しかし、ある時、船はモロッコではなく、カリブ海に向かっていることに気づく。

船長デゼサールと航海長のローガンは、伝説の海賊ジェレミー・プラットの財宝を探すつもりだった。

そんなさなか、カリブ海で、スペイン艦隊と激闘したイギリス船長グレイを助ける。レティツィヤはグレイに惚れて、彼を助けるため、宝探しに協力する。

宝の島で大冒険。

宝のありかを知っているローガンは、レティツィヤと他2人を連れて、サン・モーリス島に潜入する。そこにはアフリカ系のマッチョ一族がいるが、女装して騙して、なんとか切り抜ける。

ジャングルや滝を抜け、ついに宝のある鉱山へ。秘密の隠し場所に、レティツィヤはローガンと2人で向かう。ついに宝石ざくざくを発見。しかし、戻る途中で、ローガンの計略がいろいろ明らかになる。

はたしてレティツィヤの運命は、そしてグレイとの恋や、その他もろもろの人生いろいろは…?

最後に現代に戻って、宝探しの結末へ。

ニコラスたちも、漁師フレッドの船で、サン・モーリス島へ。ついに秘密の洞窟を発見し、そこでたくさんの宝箱を見つける。しかしその時、意外な事実が明らかになって…。

挿絵集

この作品の最新ハードカバー版には、「エラスト・ファンドーリンのシリーズ」でおなじみの、画家イーゴリ・サク―ロフ氏によるすばらしい挿絵がついています。

主人公の娘レティツィヤ。いわゆるおてんばです。
海賊に捕まった、レティツィヤの父フェルディナント。顔には天然痘の跡がある。
港町サン・マロの船主ルフェーブル。
「リロンデール(ツバメ)」号の船長デゼサール。水兵からたたき上げの、荒くれ海の男。
リロンデール号の士官たち。右から、デゼサール船長の弟で砲術長のカバーンと、その双子の息子ドロワとゴーシュ。
リロンデール号の士官プラヌィラ。
牧師のアストリフ。
イギリス艦の船長グレイ。
サン・マロの町で、警官をぶちのめすレティツィヤ。もとはと言えば、禁制の絹織物を着ていた彼女が悪いのですが。
男装し、医者として船に乗り込むことになったレティツィヤ。アイルランド人の航海士ハリー・ローガン(飲んでるかつらの人物)と出会う。頭にバンダナ巻いているのは、パパ・ポム。
貴族になりたいデゼサール船長に、上流階級のマナーを教えるレティツィヤ。
「マーメイド号」の船長グレイ。1対3の戦力差にもめげず、スペイン艦隊に戦いを挑む。
フォール・ロワイヤルの町で、襲われるレティツィヤとローガン。
宝のある島には、「黒の女王」ひきいるアフリカ系マッチョ部族が住んでいる。女装して潜入するローガンとレティツィヤ。女装と言っても、レティツィヤは本来女性ですが。
滝の下をくぐって、宝の隠し場所へ。手前で目隠しされているのはサリエー。
ついに宝石ざくざくを発見したレティツィヤとローガン。

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