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第一巻 児童文学

シリーズ第一巻は、「児童文学」ということで、6年生の少年エラストが100年前や中世にタイムスリップする冒険話です。

エラストの目的は、世界を救うための宝石「楽園の林檎」をゲットすること。この宝石のせいで、人類史上の大惨事がいろいろ発生。よって、これを現代に持ち帰り、魔力を浄化するのがミッションです。

少年エラストにこの使命が託されたのは、もともと砂漠で宝石を発見した「十字軍騎士のテオ」の直系の子孫だから。さらに、タイムスリップのための穴「タイムホール」を通るには、ちっこい子供でないといけないというわけで。

まあ「児童文学」なので、細かいことはどーでもいいのです。

メインの舞台となるのは、1605-1606年の中世ロシア。イワン雷帝死後の「大動乱時代」というやつで、反乱や外国の侵攻が相次ぐ大変な時です。日本では、このへんの歴史はまったく知られておりませんな。

日本でいうところの戦国時代みたいなもんでしょうか。史実としては、この動乱時代を収めてロマノフ朝が成立し、有名なピョートル大帝が現れて、ロシアは一躍ヨーロッパ強国の仲間入りをした、ということになるようです。

登場人物

現代の登場人物

エラストJr.主人公。6年生ということですが、日本の小学6年生と同じなのでしょうか。ニコラス・ファンドーリンの息子で、名前は偉大な曾祖父エラスト・ファンドーリンから取られています。
ニコラスエラストJr.の父。ニコラスシリーズの主人公。イギリス出身の歴史学者だが、今はモスクワで、アドバイス専門業というへんな仕事をやっている。
ヴァン・ドールンオランダ人の歴史学者。名前の通り、ファンドーリン一族の遠い親戚。

1914年の登場人物

ディヤボリーニサーカスに出演中の魔術師。
ブリャンチャニーノフ将軍。義和団の乱で中国に出征し、宝石を略奪してリッチになった。そこで、神秘の巨大ダイヤ「楽園の林檎」もゲットした模様。
イヴェッタブリャンチャニーノフ邸に出入りしている若美女。

1605-06年の登場人物

ボリス・ゴドゥノフ実在のロシア皇帝。イワン雷帝なきあと権力を握り、ロシア皇帝に。
偽ドミトリー実在のロシア皇帝。出自不明の人物ですが、イワン雷帝の子で9歳で変死したはずのドミトリーを自称し、反乱軍を組織。ポーランドの支援でゴドゥノフの後継者を破り、皇帝に。偽物なのに、ドミトリーの実母にも認められたそうです。しかし、シューイスキーらに打倒され、1年に満たずして廃位・殺害された。
マリナ・ムニーシェク実在の人物。ポーランド貴族の娘で、偽ドミトリーの妃。偽ドミトリーが殺された後、さらにその偽物の偽ドミトリー2世のもとに参じ、子供まで作ったそうな。むちゃくちゃですね。
ワシーリー・シューイスキー実在のロシア皇帝。偽ドミトリーを倒して皇帝になるが、4年で退位させられる。その後は空位期間が続き、スウェーデンやポーランドの侵攻で大混乱。それを収めたのが、ロマノフ朝の始祖ミハイルというわけです 。
ソロモニヤシューイスキーの娘。勝ち気な性格。
シャラフージンシューイスキーの家来。
バスマノフ猛将。偽ドミトリーの右腕。
ユールカ1967年のキエフからタイムスリップしてきた若者。
ケリーイギリス人の科学者・錬金術師。宝石「楽園の林檎」を探している。

未来の登場人物

マグダイチロー未来の人間。空飛ぶ掃除機で、モスクワの街を掃除している。人工雨で虹を作るのが得意。

ストーリー

ネタバレにならない程度に解説。

世界を救うため、少年エラストは1914年にタイムスリップ。

6年生の少年エラストJr.は、朝から変な出来事に見舞われる。校長に目をつけられ、家に帰される。そこで、父ニコラスの客で、ファンドーリン一族の親戚ヴァン・ドールンに会う。

ヴァン・ドールンは、エラストこそ、世界を救う使命を帯びているという。彼の発明や発見を使って、エラストは、神秘の宝石「楽園の林檎」を探すため、タイムスリップすることになる。

「タイムホール」を通って、1914年のモスクワに到着。偉大な曾祖父エラスト・ファンドーリンを探すが、留守だった。仕方なく、奇術師ディヤボリーニの助手になり、ブリャンチャニーノフ将軍邸から、「楽園の林檎」を盗み出す。

宝石を現代に持ち帰ろうとするエラストは、ディヤボリーニに追われる。あわてて別のタイムホールに逃げ込むと、あら大変、1605年のモスクワに来てしまった。

1605年の野蛮なモスクワ。大ピンチ。

死んでいると勘違いされたエラストは、シューイスキー公爵のもとに運ばれる。シューイスキーは、変死したイワン雷帝の子ドミトリーにからむ計略に、彼を使おうとする。

しかしエラストが生きていることが判明し、復活した天使扱いされながらも、軟禁の身になる。そんな中、死んだはずのドミトリーを自称する反乱者の偽ドミトリーが、モスクワに侵攻。エラストは、投降するシューイスキーの手土産として、偽ドミトリーに献上される。

絶体絶命と思いきや、とある事情から、エラストは偽ドミトリーの親友になる。偽ドミトリーは天下を取り、エラストも公爵に列せられる。

ロシアの旧弊を打破すべく、改革を進める偽ドミトリー。ポーランド貴族の美女マリナと結婚するが、反ポーランドのロシア民衆を敵にしてしまう。

一方、マリナの友人の科学者ケリーは、エラストが「楽園の林檎」を持っているのに気づく。錬金術に使うため、甘い言葉で宝石を奪おうとする。

そんなこんなのうちに、偽ドミトリーは新婦にメロメロで、クーデターを起こされる。シューイスキーらの軍勢が、クレムリンの宮殿に突入。エラストは助けに行き、ケリーと宝石の取り合いになる。

宝石の奪還はならず、追われて、別のタイムホールに飛び込むエラスト。その行く先は…。

時が止まった未来へ到着。

タイムホールの先は未来だった。人類はほとんど絶滅し、残った700人ばかしの賢人が、高度な科学で非人間的な生活をしている。

未来人マグダイチローは、エラストに、未来にとどまるようアドバイス。しかしエラストは、自分の時代に戻ると決意。

マグダイチローの超科学で、無事に現代へ帰還。さっそく、事の次第をヴァン・ドールンに報告する。ヴァン・ドールンは、計画の失敗にも全く動ぜず。エラストに、さらなる行動計画を語って聞かせる…。

画像集

ネットで挿絵を拾得しました。

1914年、ブリャンチャニーノフ将軍邸のパーティー。ドアからのぞいているのが、ディヤボリーニとエラスト。手品を見せているすきに、宝石「楽園の林檎」を盗む計画です。
1605年にタイムスリップしたエラストと、大貴族シューイスキーの娘ソロモニヤ。
天下を取った偽ドミトリー(真ん中のヒゲなし若者)。エラストは、側近として公爵に列せられる。
エラストが首から下げた「楽園の林檎」をねらう、錬金術師ケリー。後ろでいちゃついているのは、偽ドミトリーとマリナ。
今度は未来のモスクワにタイムスリップしたエラスト。

参考画像など。

偽ドミトリー。イワン雷帝の子ドミトリーを自称し、ポーランドの支援で皇帝に即位。一説によると、その正体は、グレゴリー・オトレピエフという逃亡僧とか。ヒゲなしつるつるなのが反ロシア的。

ポーランドべったりで民衆に嫌われ、即位後1年足らずで廃位。襲われて窓から飛び降りるがつかまり、死刑&さらしものの刑。あげくに焼かれて、灰は大砲でポーランドに向けて発射されたそうな。
ポーランド人で偽ドミトリーの妃マリナ。偽ドミトリーの死後は、さらに偽物の偽ドミトリー2世に身を寄せる。偽ドミトリー2世もやられた後は、コサックの首領ザルツキーに担がれるが、最後は捕えられて獄死。
偽ドミトリーをクーデターでぶっ殺したワシーリー・シューイスキー。もともと、ボリス・ゴドゥノフの命令で、ドミトリー皇子の変死事件を調査したのもこの人です。

皇帝に即位したが、反乱やポーランドの侵攻をくらい、4年で廃位。その後、ポーランドへの使節団に参加してとっ捕まり、ワルシャワで死去。
シューイスキーの手下に襲われ、窓から逃げようとする偽ドミトリーの図。

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