アクーニン氏が「アンナ・ボリソワ」という女性名で発表した第一作。ボリソワ名義の作品は、女性らしく心理的な描写が中心らしいです。
で、これは死後の世界を扱った作品。題名にある「むこう」というのは、あの世のことです。
とある空港に居合わせた、12の人物(と犬)が、イスラム爆弾テロで死亡。それぞれの死後の世界が描かれています。
アンナ | 中年女性。歴史学者。年上の教授と恋愛していたが、捨てられて傷心。 |
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ヴラッド | 空港のバーテンダー。東洋思想についてのブログを書いている。 |
グラジナ | アフリカ系リトアニア人。シベリアで風俗産業的な仕事をしていた。 |
ジュリアン | グラジナの子供。幼児。 |
ワダ | 日本人の老人。もともとは満州の中国人で、戦後、日本人の養子となる。弁当宅配で財をなしたが、いまは自分の死期を待っている。 |
ジャン | フランス人。新婚。 |
ジャンナ | ジャンの新妻。 |
ムーサ | アフガン出身の自爆テロリスト。 |
ヤーストレブ | ムーサを飛行機に乗せる役目の、案内役テロリスト。母親はドイツ人の過激派。 |
コリバノフ | 空港の警備員。 |
グープキン | コリバノフの同僚の警備員。爆発物探知犬の訓練士。 |
クージャ | コリバノフの犬。爆発物探知犬。 |
ネタバレにならない程度に解説。
空港に居合わせた、11人と犬1匹。イスラムテロリストのムーサが自爆して、みんな死後の世界へ。
それぞれの宗教などに応じた死後の世界。無神論者のヤーストレブは無になったり、イスラムのムーサはイスラム天国に行ったり、日本人ワダは仏教的な輪廻になる。