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ベローナ

ブルスニキン名義の三作目で、1853-56年のクリミア戦争を舞台にした歴史小説。

「フリゲート艦『ベローナ』」と、「黒い」の2部に分かれています。「黒い」というタイトルは、第二部の舞台となる戦場「黒い川」を、主に意味していると思われます。

第一部は水兵のゲラシムが主人公で、第二部は英国スパイのレックスが主人公。なお、その他の脇役は、第一部・第二部のどちらにも出てきます。

クリミア戦争の激戦地、ロシアの軍港セバストポリをめぐる戦いが主な舞台。

題名の「ベローナ」というのはローマ神話の戦いの女神で、文字通りベローナ=戦いに囚われた人々の運命がテーマになっております。

登場人物

ゲラシム・イリューヒン軍港の街セバストポリに住む、孤児の青年。ひょんなことからロシア海軍のフリゲート艦「ベローナ」に乗り込み、クリミア戦争に従軍することになる。
イナゼムツォフ「ベローナ」の艦長。前作「違う時代の英雄」にも出てきました。
ジャンコイナゼムツォフ艦長の家来のネイティブアメリカ人。ベローナに乗り組んでいる。
ディアナ孤児の美少女。セバストポリの慈善女学院に通っている。ゲラシムの運命の相手。
アグリッピーナディアナが通う女学院の教員。
アスラン・ギレーイ陸軍二等大尉。セバストポリ守備隊として、イナゼムツォフに協力する。のちにスパイ対策の防諜部門に転属。
レックスドイツ系ロシア人。自由主義者で、ロシア帝国の専制打倒のため、イギリスのスパイとして活動している。
フィンクアメリカ人の医者。志願して、ロシア軍の野戦病院で勤務。
トートレーベン将軍実在の人物。ロシア工兵隊の司令官。レックスにころっとだまされて信頼する。
ブレフスキー将軍実在の人物。包囲されたセバストポリを救うため、起死回生の攻勢を主張。
ゴルチャコフ将軍実在の人物。ロシア軍の総司令官。優柔不断で、レックスの策にひっかかる。

ストーリー

ネタバレにならない程度に解説。

青年ゲラシムは、フリゲート艦「ベローナ」でクリミア戦争へ従軍。

軍港セバストポリに住む孤児のゲラシムは、洞窟で中世のモザイク画を見つける。それは、ローマの戦いの女神ベローナの像だった。

そのモザイクベローナにそっくりな美少女の写真を、写真館で見つける。写真を盗んで逃げたゲラシムは、海軍のフリゲート艦ベローナに拾われ、クリミア戦争に従軍することになる。

艦長イナゼムツォフの従卒となったゲラシムは、手柄を立てたり失敗したりする。さらに、艦長の家来ジャンコの助けで、写真の美少女ディアナとも知り合う。

ディアナといい感じになるゲラシム。ディアナの先生のアグリッピーナは、イナゼムツォフ艦長といい感じになる。

しかし、セバストポリの街は、英・仏・トルコ連合軍に包囲される。次第に激しくなる戦火。ゲラシムたちの運命は…。

一方、イギリススパイのレックスは、セバストポリのロシア軍に潜入。

専制政治を打倒しロシアを改革するため、ドイツ系ロシア人のレックスは、イギリスのスパイになる。難航するセバストポリ攻略を助けるため、エンジニアとしてロシア軍に潜入する。

エンジニア能力でロシア軍に気に入られるレックス。ロシア軍の情報を漏らしたり、あえて無謀な攻勢作戦をとらせようと画策する。

対して、ロシア軍の防諜隊長アスラン・ギレーイは、ついにレックスのしっぽをつかむ。と同時に、アスラン・ギレーイは、第一部にも出てきたアグリッピーナに惚れる。

ロシア軍の大攻勢、大失敗、そしてセバストポリ陥落へ。

アグリッピーナは、結局レックスに惚れる。アスラン・ギレーイは、恋愛事情も絡んでややこしい中、レックスにうまくごまかされる。

そしてレックスの計略により、ロシア軍は無謀な大攻勢を発動。すさまじい戦火の中、戦いの神ベローナに魅入られた、それぞれの人生やいかに…。

画像集

参考画像など。

クリミア戦争時の海戦は、こんな感じだったようです。ロシアのフリゲート艦「フローラ」が、1隻で3隻のトルコ艦をぶちのめしているところ、らしい。
作品中にも出てくる、シノープの海戦の図。戦いから150周年の記念切手だそうで。シノープ港に停泊中のオスマン・トルコ艦隊を、ロシア艦隊が壊滅させました。右上の横顔の人は、指揮官のナヒーモフ提督。
ごちゃごちゃしてよく分りませんが、軍港セバストポリの攻防戦。要塞化された街を英仏トルコ軍が包囲して、陥落するまで1年近く戦ったそうです。
第二部のメインなイベントである、「黒い川」での戦い。青服に赤ズボンは、フランス軍のトレードマークです。
ロシア軍の技術士官トートレーベン将軍。
ブレフスキー将軍。積極的な攻勢を主張し、大失敗して、セバストポリ陥落の原因になったようです。その時、自分も砲弾に当たってお亡くなりに。
ロシア軍の総司令官ゴルチャコフ将軍。

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