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第十四巻 平和と戦争

小説パートの七作目。舞台は1812年、ナポレオン軍がロシアに侵攻してくる時代の話です。

主人公の女地主ポリーナが、領地で起こった連続殺人の謎を究明しつつ、フランス軍に立ち向かったりします。

歴史を舞台にした連続殺人の捜査とは、ひさびさにアクーニン氏らしい構成。ただ別にこれといった謎解き要素はない。

ところでタイトルの「平和と戦争」というのは、まあトルストイの「戦争と平和」をもじっているんでしょう。で、「平和」を意味するロシア語の「ミール」が「мiр」と旧字体になっていますが、これはなんか意味があるんですかね。アクーニン氏の意図がよくわかりませんでした。

登場人物

ポリーナ・カーチナモスクワ郊外のヴィミラロヴォ村の女地主。第十二巻「ルーツィイ・カーチンの幸運な経験と考察」にも出てきました。第十二巻ではルーツィイ・カーチンの若妻でしたが、今回はもう62歳で、夫亡き後、やり手の手腕を発揮して領地を切り盛りしている。
サーシャポリーナの孫娘。理系に関心がある。
ミーチャロシア軍の青年将校。弱っちい。サーシャと恋に落ちる。
クジマーポリーナの領地に住む製粉小屋の主人。寡黙で力が強い、まさにタフなロシア民衆のタイプ。
アガーフィヤクジマーの妻。背中が曲がっている。夫にとにかく尽くすタイプ。
ジェンキンスイギリスの船乗り。サーシャの家庭教師的な居候。
ボシャンナポレオン軍のフランス主計将校。ポリーナの領地から物資を徴発する。
ミロークリ神父ポリーナの領地の神父。理屈っぽい。
ヴィリニェーヤミロークリ神父の妻で尼さん。ロシアの聖職者は、夫婦になる場合もあるんですかね。
バラーバミロークリ神父の下で働く寺男のような下級聖職者。頭が悪い。

ストーリー

やり手の女地主ポリーナの領地で、謎の猟奇的連続殺人が発生。そんな中にナポレオン軍が侵攻してきて大騒ぎに。

ポリーナは領地経営に手腕を発揮し、庶民を指導して、ヴィミラロヴォ村を発展させていた。そんな中、川から少女の遺体が連続で見つかる。猟奇的な連続殺人事件で、ポリーナは孫娘のサーシャと調査する。

ポリーナたちは、製粉小屋の主人クジマーが怪しいとにらむ。しかし、確実な証拠はなく、クジマーは容疑を否認する。そんな中、ナポレオン軍がロシアに侵攻してくる。

ポリーナは穀物をナポレオン軍に高く売りつけようとするが、主計将校のボシャンに武力で奪われる。村を焼き払われたポリーナたちは、クジマーや軟弱ロシア将校のミーチャと協力し、パルチザンを結成してフランス軍に立ち向かう。

冬が到来し、撤退するフランス軍。ポリーナたちは、物資を奪い返そうと大作戦を立てる。そんな中、またもや連続殺人の新たな犠牲者が見つかって…。

挿絵集

アクーニン作品でおなじみの、画家イーゴリ・サク―ロフ氏による挿絵がついています。しかしそのまま載せると著作権侵害なので、それを参考にして、自分で描きなおしました。下手すぎて複製には当たらないでしょう。
!(^^)!

主人公のポリーナ。やり手の女地主。
ポリーナの孫娘サーシャ。不美人で、カエルみたいに口が大きい、という設定。

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