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第十六巻 キーテジへの道

小説パートの七作目。専制君主ニコライ一世、農奴解放など自由化をしたが革命派にテロ爆殺されたアレクサンドル二世、反動的に戻ったアレクサンドル三世の三代の時代にわたって、自由主義者の三人の青年の成長と人生が描かれております。

けっこう長くて、ロシア政治が自由化と反動強権のあいだを行ったり来たりしているのにあわせ、登場人物もいろいろ主義が変わったりしていて、その様子が細かく描かれていますが、ややこしくてよく分かりません。当時の政治に詳しい人ならピンとくるんでしょうか。

実在の政治家や大臣もいっぱい出てきますが、あまりよく知らんので、分かりづらいですね。ロリス=メリコフとか、ポベダノスツェフとか、当時の大物らしいですが、日本人にはなじみがないですね。

題名の「キーテジ」というのは、ロシアの伝説の、目に見えない楽園のような教会のことらしい。信心深い大臣ポベダノスツェフが、宗教についてどうのこうの言う場面に出てきます。

登場人物

エフゲニー・ヴォロンツォーフ(エジェン)伯爵。もともと気が優しいが、いろいろ不幸に襲われる。
ヴィクトル・ヴォローニン(ヴィカ)やり手の厳しいタイプ。もとは自由主義者だったが、体制派に転向し、内務大臣ロリス=メリコフや皇帝の側近ポベダノスツェフに気に入られて出世する。
ミハイル・ピタヴラーノフ(ミシェル)鋭い体制批判をする文筆家。デブ。
アドリアン・ラルツェフ第十四巻「平和と戦争」に出てきたサーシャとミーチャの息子。シベリアの荒野で育ったのでタフ。
シレイコ皇帝アレクサンドル二世の愛人ドルゴルーカヤ公爵夫人の家庭教師。ロシア政治を裏で操る悪女。
アリョーシャ自由主義者の青年。過激な革命思想に染まり、活動家になる。
アリアドナエジェンの娘。革命組織に参加する。
マリヤミシェルが世話している娘。若い頃に父を亡くした。

ストーリー

「三銃士」と呼ばれた自由主義者の三青年は、成長するにつれていろいろ主義が変わったりする。

ロシアの自由化を夢見るエジェン、ヴィカ、ミシェルの三人は、開明的なコンスタンチン大公の側近で「三銃士」と呼ばれていた。シベリアから来たタフガイのアドリアンと出会った三人は、若気の至りか皇帝ニコライ一世暗殺をもくろむが、失敗して意外な結果になる。

それから20年。エジェンはひっそりと田舎の領地で自由主義的な経営をするが、娘が家出をして革命家になってしまう。

ヴィカは体制派に変わり、ロリス=メリコフやポベダノスツェフといった大物大臣に抜擢されて出世する。

ミシェルは体制派に鞍替えしたように見せて、実は地下革命組織を支援していた。

アドリアンは政治に関心なく、シベリア鉄道の建設に人生をかけている。

そんな中、地下革命組織による皇帝アレクサンドル二世爆殺事件が発生。動揺するロシア政治の中で、三人の運命が交錯して…。

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