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第八巻 トリョフグラーズイの一週間

「ロシア国家の歴史」シリーズの、小説パート第四作。ロマノフ朝2代目のアレクセイ・ミハイロヴィチ帝の時代を舞台とした「トリョフグラーズイの一週間」と、その後のピョートル大帝が若いころを舞台にした「子ヘビを殺す」の二作が収録されています。なお、「子ヘビを殺す」は小説ではなく戯曲形式になっています。

表題作「トリョフグラーズイの一週間」は、主人公マルケルの波乱の生涯を追うストーリー。たった一人の身内である祖母を殺された少年マルケルが、自らの頭脳を活かして警察の役人として出世し、仇敵を倒し、巨大な陰謀と対決し、最後は人生の意味を見つけつつ、少年の頃の因縁に決着をつけます。

第二話「子ヘビを殺す」は、若きピョートル大帝と姉ソフィヤの権力争いに揺れるモスクワが舞台。マルケルの息子アニケイが、ピョートル暗殺を命じられ、どうするか…という話になっております。

タイトルの「子ヘビ」というのはピョートルのことで、大人になると厄介だから、若い今のうちに殺しておこうという意味ですね。

第一話 トリョフグラーズイの一週間

登場人物

マルケル孤児の青年。少年のころに、とある事件で生まれ育った修道院から逃れ、モスクワに出て役人になる。おでこに点みたいなアザがあるので、「三つ目」を意味するトリョフグラーズイと呼ばれている。
クリチェフスキーマルケルの仇敵のポーランド将校。左右の目の色が違う。
アーグラヤ美しい公爵令嬢。
アレクセイ・ミハイロヴィチロシア皇帝。信心深い。
ミロスラフスキー皇帝の義父。大貴族で最大の権力者
プラエスチェフゼムスキー・プリカースという内務省みたいな役所の高官。マルケルの能力を見出して重用する。
バーバチカマルケルの祖母。森に住み、両親を亡くしたマルケルの面倒をみていたが、クリチェフスキーに惨殺される。

ストーリー

孤児のマルケルは、祖母のバーバチカに見守られながら、修道院で勉強する生活。しかし、ポーランド将校クリチェフスキーの悪事に巻き込まれ、命からがらモスクワに逃れる。

モスクワで警察のような役所の使い走りになったマルケル。生来の記憶力と機転で、高官のプラエスチェフに認められ、出世する。

公爵家で起こった殺人事件や、皇帝アレクセイ・ミハイロヴィチのペット失踪事件を解決し、重要人物になるマルケル。公爵令嬢アーグラヤにかなわぬ恋をしたりする。さらにスウェーデンへの交渉使節に随行し、そこで仇敵クリチェフスキーに遭遇。大ピンチになるがなんとか逆転して、クリチェフスキーを倒す。

その後なんやかやで老年にさしかかったマルケルは、硬貨の偽造事件の捜査を通じて、大権力者ミロスラフスキーと対立することになるが…。

挿絵集

アクーニン作品でおなじみの、画家イーゴリ・サク―ロフ氏による挿絵がついています。

主人公のマルケル。額に点みたいなアザがあるので、「トリョフグラーズイ(三つ目)」と呼ばれております。

第二話 子ヘビを殺す

登場人物

アニケイ・トリョフグラーゾフシベリアからモスクワに来た商人。第一話の主人公マルケルの一人息子。おでこに点みたいなアザがある。親父は「トリョフグラーズイ」でしたが、この人は「トリョフグラーゾフ」に苗字が変わっています。人柄を見込まれて、権力者ワシーリー・ゴリーツィン公爵の護衛になる。
ピョートルロシア皇帝。
イワンピョートルの兄。ピョートルと一緒に即位したロシア皇帝。知能に問題がある。
ソフィヤピョートルの姉。若いイワン&ピョートルの代わりに実権を握っている。
ワシーリー・ゴリーツィン有力者の公爵。ソフィヤの愛人。
ボリス・ゴリーツィンワシーリーの親戚でピョートルの教育係。
シャクラヴィートゥイソフィヤの手下。銃兵隊という兵士団の長官。

ストーリー

若い皇帝ピョートルと姉ソフィヤの権力争いが激しいモスクワ。シベリアから出てきた商人トリョフグラーゾフは、ソフィヤ側の権力者ワシーリー・ゴリーツィン公爵の護衛になる。

それぞれの理想の国家像を抱き、対立するワシーリー・ゴリーツィンとピョートル。しかもワシーリーとソフィヤの愛人関係もあり、事態は一触即発に。

ついに銃兵隊の長官シャクラヴィートゥイは、ピョートル暗殺計画を進めようとする。実行役を命じられたトリョフグラーゾフの決断は…。

挿絵集

アクーニン作品でおなじみの、画家イーゴリ・サク―ロフ氏による挿絵がついています。

主人公のアニケイ・トリョフグラーゾフ。第一話の主人公マルケルの息子です。

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