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全10作からなるこのシリーズも、いよいよ大詰め。この作品では、フォン・テオフェルスが、ロシアの革命家レーニンを、スイスから帰国させる作戦を実行します。
時は1917年の4月頭。すでにこの時、2月革命というのでニコライ二世は退位しており、ロシア帝政は崩壊しとるみたいです。レーニンがロマノフ朝を倒したんじゃないんですな。
史実としては、ドイツの後援でレーニンはロシアに戻り、10月革命というので、彼のボリシェビキが権力を掌握。
で、約束通り、新たに発足したソ連は、ドイツと単独講和を結んだわけであります。講和の条件は、かなりドイツ有利だったようです。ロシアは、半ば負けを認めたようなものですな。
この作品の副題は、「世界終末直前」となっております。なお、次の最終作「天使の大隊」は、副題が「世界終末」になっています。3年におよぶロシアの戦いも、いよいよ終わるわけですねー。
フォン・テオフェルス以外の登場人物たち。
”ハゲ” | ひどいコードネームをつけられていますが、ロシアの革命家で、ソ連の創設者レーニン。本名は、ウラジーミル・ウリヤノフ。大戦中は、中立国スイスに滞在してました。 |
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アントニーナ・クラエフスカヤ | ロシアの革命家女性。スイスで活動中。 |
カルル | アントニーナの息子。十歳。名前は、カール・マルクスからとったそうです。 |
リュドヴィク・ゾーン | スイス人。ロシアの革命家を支援している。 |
マルィシェフ | ロシアの革命家。若者。 |
ジェレズノフ | 同じく革命家。 |
ルバノフ | 革命家で文筆家。本名はブリューム。 |
”グラーチ” | 革命メンバーで、ボディーガード役。グラーチというのは、ミヤマガラスのことだそうな。 |
レオントヴィチ | 在チューリヒの、ロシア軍情報将校。 |
シシュコー | レオントヴィチの部下。 |
ネタバレにならない程度に解説。
フォン・テオフェルスは、革命家レーニンをロシアに帰国させるため、スイスのチューリヒに向かう。現地で、レーニンの仲間アントニーナに会い、例によってたらしこむ。
レーニンの革命グループに潜入したテオフェルス。メンバーのジェレズノフが、ロシア情報部の内通者であることを暴く。
テオフェルスは、さくっとジェレズノフを始末する。その強さに、アントニーナはぐっときて、すっかり親密になる。一方、内通者の発覚で、レーニンのボディーガードのグラーチは、レーニン帰国計画をいろいろ変更することになる。
そんなテオフェルスたちを、ロシア情報機関のレオントヴィチとシシュコーはマークしていた。レオントヴィチは、アントニーナを、息子カルルをネタに恐喝し、レーニン帰国計画の詳細を知ろうとする。
脅しに屈したアントニーナは、テオフェルスから計画を聞き出す。情報を得たレオントヴィチとシシュコーは、レーニンの車を待ち伏せする。
派手に銃撃するロシア諜報員たち。はたして、レーニンとテオフェルスは無事なのか…?
無声映画の雰囲気を出すため、画家イーゴリ・サク―ロフ氏による挿絵がついています。
女性革命家アントニーナと、革命家に化けたテオフェルス。 | |
レーニンの仲間たち。左から、ジェレズノフ、ルバノフ、ゾーン、マルィシェフ。 | |
内通者のジェレズノフを、テオフェルスは取り押さえる。 | |
アントニーナの息子カルル。マセガキ。 | |
ロシアの情報将校。左がシシュコーで右がレオントヴィチ。 | |
レーニンがロシアへ。ロシアの苦悩の歴史は、まだまだ続く。 |
このシリーズには、「クロニクル」として、巻末に、当時の歴史写真がついています。
チューリヒの町。きれいですねー。レーニンも、革命なんか忘れて、ずっとここで暮せばいいものを。 | |
レーニン。この人とボリシェヴィキのせいで、どれほどの人命が失われたことか。 | |
チューリヒの記念プレート。「1916年2月21日-1917年4月2日 ロシアの革命リーダー レーニンがここで暮した」。 | |
ロシアへの帰途、ストックホルムでのレーニン。 |