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第二幕 破れた心の苦しみ

第二幕は「メロドラマ」。題名の通り、ロマノフがダンサーのクララとの恋に身を焦がします。

舞台は、中立国スイスの保養地サン・プラチード。そんな場所がどこにあるのか知りませんが、イタリア系の地域で、湖があるらしい。

コズロフスキー公爵やロマノフらの一団が、各国情報機関に機密を売っているスイス人実業家と対決します。今回は、ドイツ軍のテオフェルスは出てきません。

ロマノフは、のっけから第一幕にでてきた恋人シーマチカと破局。破れた心を抱えたまま、任務でスイスへ。そこで、運命の女性クララと出会うのですが、その結末は…。

まー恋愛部分は、個人的にはどーでもいいんですがねー。

この作品だけ、挿絵がサクーロフ氏ではなく別の画家で、イマイチです。ロマノフがつねにニヤケ顔で、気持ち悪い。

あと、ラスト近くの挿絵で、結末がネタバレしている。あかんがな!

登場人物

ロマノフ以外の登場人物たち。

シーマチカロマノフの元彼女。
コズロフスキー公爵ロシア防諜部門の二等大尉。なかなか味のあるキャラです。第一幕の事件で重傷を負いましたが、生きてたんですねよかったよかった。
ジュコーフスキー将軍防諜部門の司令官。
ゾンマースイス人の実業家。各国のスパイに情報を売るのが生業。
リューチコフコズロフスキーの部下。手先が器用。ゾンマー邸に潜入のため、旅芸人一座の手品師に変装する。
ニカシゼコズロフスキーの部下。グルジア系の伊達男。ナイフ投げ師に変装する。
ブロシュニコフコズロフスキーの部下。巨漢だが、とある事故により、やや女性的になる。ソプラノ歌手に変装。
フェケシュ少佐とバヤチェク中尉オーストリア軍の情報将校。チェコとかハンガリーとか、そっち系の名前ですね。当時は、オーストリア=ハンガリーは中欧の大帝国でした。
クララグラン・オテルに出演中のダンサー。
ダルボリオイタリアの高名な詩人。クララをめぐって、ロマノフと恋敵になる。
ドン・トラパーノイタリアマフィアのボス。
チーチョトラバーノの部下。鍵開けの名人。無口。

ストーリー

ネタバレにならない程度に解説。

前線で負傷したロマノフは、再びコズロフスキー公爵とスパイ作戦へ。

前線に志願したが、あっという間に腕を負傷して後送されたロマノフ。戦場にいる間に、恋人シーマチカにも去られてしまい、やけっぱちになる。

そこに、コズロフスキー公爵が登場。歌がうまいロマノフに、頼みたい任務があるという。

スイス人のゾンマーは、根拠地サン・プラチードの屋敷に、各国の機密を大量ストック。それを見境なく各国に売って大儲けしている。

コズロフスキーとロマノフは、ゾンマーの機密を盗むため、旅芸人の一座に変装。ナイフ投げや手品師も連れて、スイスへ向かう。

スイスで、任務そっちのけで恋愛のロマノフ。

サン・プラチードのグランド・ホテルで、芸を披露するロマノフ達。観客に大ウケ。そんな中、ロマノフはダンサーのクララと恋に落ちる。

コズロフスキーの部下たちは、ゾンマーの屋敷に潜入をはかるが、失敗に終わる。一方ロマノフは、恋にのぼせて任務も上の空。恋敵のイタリア詩人ダルボリオと決闘したりする。

マフィアの協力も得たりするが、結局、任務失敗でお手上げになる。飲んだくれるコズロフスキー公爵。

すごすごロシアに帰ろうとしたその時、恋のために全てを捧げるクララが、思わぬ大活躍を見せる。ロマノフらは、クララの残した縄梯子で、ゾンマー邸に潜入するが…。

写真集

このシリーズには、「クロニクル」として、巻末に、当時の歴史写真がついています。挿絵もついてますが、この作品だけ、いつものサクーロフ氏ではなく別の画家でイマイチなので、省略。

市民に見送られ、戦地へ向かうロシア軍。モシン・ナガン小銃には、槍みたいに長い銃剣がついてます。後ろの人をぶっ刺しそうで危ないですね。
突撃準備中の中隊。ロシア軍は塹壕が貧弱で、ドイツ軍の砲撃でたちまち壊滅したそうな。
戦火のヨーロッパで、平和なスイス。「永世中立国」と言うと全く戦争をしない平和な国と誤解しそうですが、「どっちの側にもつかない」ということで、実は、どこに攻められても防衛できるように重武装の国民皆兵国家ですね。
スイスのグラン・オテル。
ホテルの大食堂。

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