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第四幕 月の子供たち

今回は、ロシアの首都ペトログラードに潜入したドイツのスパイと、ロマノフが対決します。

ペトログラードはサンクト・ペテルブルクのことですが、名前が敵のドイツ語っぽかったので、ロシア的に改名したのですな。

ドイツのスパイは、砲兵中佐の娘で麻薬中毒のアリーナを利用して、スパイ活動の手先にしている様子。ロマノフは、アリーナが行きつけのデカダンクラブ「月の子供たち」に潜入し、スパイの正体を探ります。

クラブにはいろいろ怪しい人物がいるが、はたして誰が黒幕のスパイなのか?実はその正体は意外な人物で…。

途中までは退屈な話と思いきや、ラストの展開が「おっなるほど」という感じで、面白い作品でありました。

この作品のジャンルは、「デカダン風エチュード」となっていますが、どういう意味か分かりません。

登場人物

ロマノフ以外の登場人物たち。

コズロフスキー公爵騎兵二等大尉。ロマノフの上官で、防諜部門に勤務。おなじみキャラですが、今回もいい味出してます。
ジュコーフスキー将軍防諜部門の司令官。やり手。
シャーホフ中佐砲兵将校。新型76ミリ砲の開発に取り組み中。銀行の破たんで預金がすっ飛んだり、いろいろ不幸に見舞われた。
アリーナシャーホフの娘。22歳。家族を襲った度重なる不幸により、麻薬にハマってしまう。夜ごと、デカダンな若者の集まるクラブ「月の子供たち」に出入りしている。
セレーンデカダンクラブ「月の子供たち」で人気の詩人。「セレーン」はニックネームですが、意味は元素のセレンのことか?
リューバセレーンと共演しているダンサー。「リューバ」は、「リュボーフィ(愛)」からきたニックネーム。気立てのいい女性。
アースピド寡黙な軽業師の兄ちゃん。ニックネームは、毒ヘビの意味だと思います。
カインクラブ「月の子供たち」のオーナー。麻薬の売買もしている。ロシア人だが、戦争に行くのが嫌で、ウルグアイ国籍に変えた卑怯者。
メフィストフェレスカインの手下で、「月の子供たち」の門番。巨漢。悪魔の格好をしている。

ストーリー

ネタバレにならない程度に解説。

シャーホフ中佐の娘が、ドイツスパイに利用される。

参謀本部シャーホフ中佐の関与している新型76ミリ砲の図面が、盗み撮りされて流出した。どうやら、中佐の娘で麻薬中毒のアリーナが、ドイツのスパイにいいように利用されているらしい。

ロマノフは、ジュコーフスキー将軍&コズロフスキー大尉の命令で、アリーナ行きつけのクラブ「月の子供たち」に潜入する。デカダン若者クラブなので、変な格好で行く。

アリーナは「月の子供たち」で、怪しい赤手袋の人物と接触。しかしロマノフは追跡に失敗する。

怪しい詩人やダンサーを追跡。

「月の子供たち」には、詩人のセレーンや、ダンサーのアースピドなど、怪しい人物だらけ。

ロマノフとコズロフスキーは、それぞれを追跡するが、結局スパイの尻尾はつかめない。ジュコーフスキー将軍は、おとりの機密文書を使って、スパイをおびき出すワナ作戦を仕掛ける。

ついに赤手袋を追いつめるが、事件は意外な展開に。

ロマノフは「月の子供たち」で、赤手袋を追いつめる。と思いきや逃げられる。しかたがないのでアリーナを説得し、スパイが誰なのか、口を割らせようとする。

必死に説得するロマノフ。ところが、ついたての陰から、何者かが二人に銃口を向けて…。

挿絵集

無声映画の雰囲気を出すため、画家イーゴリ・サク―ロフ氏による挿絵がついています。

防諜部門の中尉に任官したロマノフ。腕は治っているのに、見栄えのために、まだ負傷中のふりをしている。
防諜部門のジュコーフスキー将軍(真ん中)と、コズロフスキー大尉(左)。右のがっくりきている人物は、シャーホフ中佐。
子供のころに芸術系のレッスンをいろいろ受けたコズロフスキーは、ロマノフのメークアップを買って出る。
デカダンクラブ「月の子供たち」でのアリーナ。麻薬中毒で、病的です。後ろでにやけているのはロマノフ。コズロフスキーによって、おでこに目の模様を描かれてます。
ロマノフと親交を深める、ダンサーのリューバ(左)。手前で変な全身タイツを着ているのは、軽業師のアースピド。
アリーナを説得するロマノフ。

写真集

このシリーズには、「クロニクル」として、巻末に、当時の歴史写真がついています。

フルシュターツカヤ通りの憲兵隊司令部。ロマノフらの勤務先。
リテイヌイ大通りの砲兵隊司令部。シャーホフ中佐の所属する部署。
ロシア軍は後退につぐ後退。ワルシャワもドイツ軍に占領されました。

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