TOP >尼僧ペラギヤのシリーズ >ペラギヤと赤いおんどり
シリーズの最後となる第三巻は、キリスト教の根幹がテーマ。舞台はいきなりイスラエルに飛んだりします。
物語の核となるのが、世間を騒がすユダヤ教の預言者マヌイラ。ロシアの片田舎に突然現れた彼は、信者を増やしながら、エルサレムへと向かいます。
一方、ユダヤ教の各グループやロシア正教の反ユダヤ団体は、彼を激しく敵視。そんな中、ペラギヤたちも乗り合わせた船上でマヌイラの惨殺事件が発生(実は、殺されたのは別人と発覚)。
その真犯人を追って、ペラギヤもイスラエルへ。てんやわんやの旅の果てに、驚くべき真相が明らかになります。
題名の「赤いおんどり」つーのは、超常現象伝説みたいなもので、ある種の洞窟に赤いおんどりを連れて行って、コケコッコーと泣かせると、時間も場所も飛び越えて、別の洞窟にテレポート&タイムスリップできるんだそうです。
この無茶な話が、実は結末に大きくかかわってくるんですねー。
ペラギヤ以外の登場人物たち。
ミトロファーニイ主教 | おなじみ、ザヴォルジュスクの主教。ペラギヤをいろいろ事件捜査に使っていることがばれて、教会幹部からお叱りを受けている。 |
---|---|
ベルジチェフスキー | 第一巻・第二巻に続いて登場。地方検事。ユダヤ系ロシア正教徒で、13人の子持ち。なんか今回は、突然ペラギヤに惚れてしまったようです。 |
ウセルドフ神父 | ミトロファーニイの秘書。 |
ポベージン | 宗教会議の主席審問官。大権力者で、ロシア正教の守護者。 |
ドリーニン | 内務省の有力者で、殺人事件の捜査官。 |
マヌイラ | ユダヤ教の預言者で変人。ロシア正教から改宗したユダヤ教徒のリーダー。改宗した人たちは、ロシア正教徒からも、もともとのユダヤ教徒からも異端視されている。 |
シェルーヒン | マヌイラの影武者。パレスチナへ向かう船上で、惨殺される。 |
サラーフ | エルサレムの観光ガイド。調子のいいおっさん。 |
ラビ・シェファレーヴィチ | ユダヤ教の指導者。ユダヤ至上主義者。 |
マゲッラン | ユダヤ青年。イスラエルに入植したユダヤ人コミューンのリーダー。 |
イロディアーダ | 同性愛男だけの入植地「新ソドム」への移住者。女装している。 |
ダニエル・ベク | パレスチナの盗賊頭。もとはカフカスにいたチュルケス人。 |
ラツェヴィッチ | 元憲兵隊の将校。借金で身を落とし、殺し屋的な仕事をしている。片目が義眼。 | チャルナクーツキー | 同性愛者で変態の伯爵。ラツェヴィッチとできていた。 |
ヤコフ・ミハイロヴィチ | ペラギヤをしつこくイスラエルまで追いかける殺し屋。 |
ネタバレにならない程度に解説。
ペラギヤは、ミトロファーニイ主教と、サンクトペテルブルクを訪問する。その帰りの船上で、改宗ユダヤ教徒の預言者マヌイラの惨殺事件が発生する。
捜査隊長のドリーニンは、ペラギヤの知性を見抜き、信頼する。マヌイラの出身地ストロガノフカ村に捜査に行くことになり、ペラギヤも同行を頼まれる。
捜査の結果、殺されたのはマヌイラ本人ではなく、そっくりの影武者だったと判明。ペラギヤは、マヌイラを知る娘と話し、伝説の「赤いおんどり」がいる洞窟を調べに行く。
洞窟で確かにおんどりを発見。その直後、何者かが洞窟内で土砂崩れをおこし、ペラギヤは危うく殺されかける。
ザヴォルジュスクの町に戻ったペラギヤ。しかし、まだ命を狙われる。殺し屋のラツェヴィッチはなんとか退治するが、その後も毒とか仕込まれる。
危険だということで、ペラギヤは遠くに避難することになり、エルサレム巡礼の旅に出る。例の預言者マヌイラもエルサレムにいることが分かり、後を追う。盗賊ダニエル・ベクに誘拐され、マゲッラン率いるユダヤ入植者グループとの抗争に巻き込まれたりする。
一方、検事のベルジチェフスキーは、突然ペラギヤに惚れてしまう。彼女を救うため、ジトーミルという町で、犯人を探そうとする。反ユダヤ主義者のグループに接触したり、変態同性愛者のチャルナクーツキー伯爵邸へ潜入する。ペラギヤを襲った殺し屋ラツェヴィッチの黒幕を追うが、そこで意外な人物が浮かび上がる。
ベルジチェフスキーはペテルブルクに行き、黒幕を尾行する。ところが、当の黒幕がベルジチェフスキーを招き入れ、事件の真相を語って聞かせる。
イスラエルで、預言者マヌイラの後を追うペラギヤ。一方、殺し屋その2のヤコフ・ミハイロヴィッチも、執拗に彼女の後を追う。
同性愛男の村を抜け、ついに、廃墟となった聖地にたどりつく。
満月の夜、ついにマヌイラが現れる。そこに殺し屋ヤコフ・ミハイロヴィチも現れる。
結末に向けていろいろ起こり、マヌイラの驚くべき正体が明らかになる。謎の「赤いおんどり」と共に、洞窟に消えるマヌイラ。
そしてペラギヤも、ある恐るべき計画を実行に移すが…。