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第一巻 ペラギヤと白いブルドッグ

ペラギヤシリーズの第一作。題名の通り、白いブルドッグが相次いで殺された事件を発端に、連続殺人事件が発生。それをペラギヤが解決します。

舞台となるのは、ザヴォルジュスク地方の中心都市ザヴォルジュスクと、近郊の村ドロズドフカ。シリーズの副題の通り、田舎が舞台なので、シチュエーションの変化はあまりありません。

変化がないわりに話は結構長いので、ややじれったい感はあります。

主人公ペラギヤの上司ミトロファーニイ主教は、穏健かつ進歩的な考え方の持ち主。若い知事のフォン・ガッゲナウ男爵にもいろいろアドバイスし、おかげでザヴォルジュスクは、ロシアの田舎としてはかなり安定した平和な地方だそう。

ところが、その田舎を震撼させる、陰惨な事件が発生。ペテルブルクの総主教に派遣された監察官ブベンツォフとかもやって来て、いろいろかき回し、権力闘争も含めた展開になります。

登場人物

ペラギヤ以外の登場人物たち。

ロシア正教会と修道院、役所の関係者

ミトロファーニイ主教ザヴォルジュスクの主教。かつては近衛騎兵将校だったが、出家して聖職者に。切れ者として若くして頭角を現したが、実際は、ほとんどペラギヤの知性に助けられていた。
フォン・ガッゲナウ男爵ザヴォルジュスク地方(県?郡?)の知事。ドイツ系。
リュドミラフォン・ガッゲナウの妻。
ブベンツォフロシア正教総主教に派遣された、切れ者の監察官。ミトロファーニイが、現地の異端や迷信撲滅に手ぬるいため、督促にやって来た。
スパショーンヌイブベンツォフの秘書。信心深い。
ムラトブベンツォフの御者。中央アジア人。無口な乱暴者だが、女にもてる。
ラグランジュザヴォルジュスクの警察長官。フランス系の名前ですね。
ベルジチェフスキー地方裁判所の検事。子だくさん。
オリンピアーダ郵便長官の妻。進歩的サロンを主宰するマダム。
ロメイコペテルブルクの高名な弁護士。

タチーシェヴァ邸の関係者

マリヤ・タチーシェヴァミトロファーニイ主教の義理の伯母さん。ドロズドフカに広大な領地を所有。亡き夫の後を継ぎ、「ロシアン・ホワイトブルドッグ」の品種改良にはげんでいる。
ピョートルとナイーナタチーシェヴァの孫たち。ピョートルはぼんくら息子で、ナイーナは浮気な美女。
ターニャタチーシェヴァ邸の家政婦。
クラスノフタチーシェヴァの隣人の地主。詩が趣味。ターニャに言い寄っている。
シィリャーエフタチーシェヴァ邸の管理人。女主人の孫ナイーナに惚れている。
ポーッジョペテルブルクから来た写真家。シィリャーエフの友人。こいつもナイーナに惚れている。
スィトニコフタチーシェヴァ邸の客で金持ち。そしてこいつもナイーナに惚れている。
ミス・リグリータチーシェヴァ邸の客でイギリス人。50歳くらいらしい。

ストーリー

ネタバレにならない程度に解説。

ペラギヤが、ブルドッグの毒殺事件を調査するためドロズドフカへ。

ミトロファーニイ主教に、伯母さんのマリヤが助けを求めてきた。マリヤは白いブルドッグのブリーダーだが、愛犬が何者かに毒殺されたという。

修道女のペラギヤは、ミトロファーニイの命令で、近くの村ドロズドフカに住むマリヤを訪ねる。途中で、凄惨な殺人事件の跡に出会う。被害者は、首が切られて身元不明だという。

ドロズドフカで、地主のクラスノフやスィトニコフ、写真家のポーッジョに管理人のシィリャーエフ、マリヤの孫のナイーナとピョートルなどに出会う。一度にいろんな人が出てきて、誰が誰だか分からなくなります。

ドロズドフカの男たちは、それぞれナイーナや家政婦ターニャに言い寄っていて、人間関係がドロドロしている。そこに、ペテルブルクから来た総主教の腹心ブベンツォフとかもやって来る。

ブベンツォフは、この地で迷信や異端が根絶されていないので、督促する任務を帯びている。さっそく知事フォン・ガッゲナウやミトロファーニイと対立している。例の首なし殺人も、邪教の信者が犯人と決め付け、迷信信者をしょっぴく。

そんな中、新たに二頭のブルドッグが殺される。

ペラギヤは殺犬犯を突き止めるが、事件はさらに拡大。

愛犬の死で、マリヤはがっくり来て寝込む。ミトロファーニイもやって来て、なんとかマリヤの元気を取り戻す。

ペラギヤは、簡単な状況証拠から、犬殺害の犯人を突き止める。それは意外な人物だった。事件解決かと思いきや、ペラギヤは何者かに殺されかける。

ザヴォルジュスクの町に戻ったペラギヤ。ブベンツォフは、知事やミトロファーニイと対立しながら、権力を握りつつある。

一方、写真家のポーッジョは、郵便長官夫人オリンピアーダの邸宅で、写真の展覧会を開く。変装したペラギヤも出席する。

その翌朝、ポーッジョは惨殺体で発見される。

警察長官のラグランジュは、関係者を集めて、事件の現場検証をする。ペラギヤは、そこでナイーナが何かを知っていることに気づく。

深夜、ナイーナ邸を訪ねるペラギヤ。しかし、ナイーナは何者かに殺されていた。ペラギヤも襲われるが、川に落っこちて何とか逃れる。

ペラギヤの発見で、ブベンツォフを逮捕。

川で流され、ペラギヤはドロズドフカに流れ着く。そこでひらめき、マリヤ邸の庭を掘ったところ、切断された人間の頭部を発見。例の首なし殺人のものだった。

ブルドッグが殺されたのは、犬たちが、埋められた頭部を掘り返さないようにするためだったのです。

すべてはブベンツォフのしわざだということで、警察長官ラグランジュと検事のベルジチェフスキーは、彼を逮捕に行く。そこで御者のムラトが激しく抵抗し、銃撃戦になる。

ムラトは射殺され、ブベンツォフは裁判にかけられる。ペテルブルクから来た凄腕弁護士ロメイコによって、無罪になりそうになる。

そこで、ミトロファーニイが証言台に。一気に形勢を逆転する。ブベンツォフの秘書スパショーンヌイも、主人に不利な証言をする。

スパショーンヌイに飛びかかって、ぶん殴るブベンツォフ。いよいよ有罪確定、という時に、ペラギヤが証言台に立ち、さらなる秘密を明らかにする…。

画像集

この作品は、2009年にテレビ映画化されたそうで、そこから画像を拝借。

ミトロファーニイ主教とシスター・ペラギヤ。後ろにいる制服おっさんは、検事のベルジチェフスキー。
ミトロファーニイの伯母さんマリヤ。白いブルドッグの品種改良がライフワーク。
マリヤの孫たち。ピョートルと魔性の女ナイーナ。
ドロズドフカにある、マリヤの邸宅。青い壁がかわいいですね。
総主教から派遣された、切れ者ブベンツォフ。
首なし殺人を、異教信者のせいだとするブベンツォフ。後ろの人物は、秘書のスパショーンヌイ。
マリヤ邸の管理人シィリャーエフ。
写真家のポーッジョ。
金持ちおっさんスィトニコフ。
黒服が検事のベルジチェフスキーで、白服が警察長官のラグランジュ。
ブベンツォフの御者ムラトと、マリヤ邸の家政婦ターニャ。
知事のフォン・ガッゲナウ。左の美女は、ペラギヤが変装した姿。
ペラギヤが、捜査のために変装した仮の姿、ポリーナ・リシーツィナ夫人。僧服を着替えると、こんな美女だったんですね。

演じているのはポリーナ・クチェーポヴァさんという人だそうです。

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