チェーホフの戯曲「かもめ」を下敷きに、その後のストーリーを推理もの仕立てにした作品。
もともとのチェーホフの作品は、悩み多き青年トレープレフが、娘ニーナとの恋に苦しんだりして、最終的にはピストル自殺する話です。
アクーニン版は、その後日談的な話。実はトレープレフは他殺だった、というところから始まり、医師ドールンが犯人を推理で追及していきます。
なお、誰が犯人なのか、という結末が、計8バージョン用意されています。
チェーホフの原作はいまいち何が言いたいのか分からんのですが、それぞれの人物が、互いに入り組んだ恋愛関係にあるのがポイントらしい。
アクーニン氏は、その設定を活かして、8通りの殺人犯・8通りの動機を用意してみせた、ということだと思われます。
トレープレフ | 作家志望の青年。恋だのなんだのに悩んでいる。チェーホフの原作では、最後にピストル自殺しますが、アクーニン版では誰かに殺されたことになっています。 |
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アルカージナ | トレープレフの母親。女優。 |
ニーナ | トレープレフの恋人的娘。女優を夢見ている。 |
ソーリン | アルカージナの兄。トレープレフのおじさん。 |
ドールン | 医者。チェーホフ版でも含蓄のある人物ですが、アクーニン版では、エラストやニコラスのファンドーリン(フォン・ドールン)一族と関係がある、という設定が追加されています。 |
トリゴーリン | 人気の作家。 |
シャムラーエフ | ソーリン邸の支配人。 |
ポリーナ | シャムラーエフの妻。 |
マーシャ | シャムラーエフの娘。 |
メドヴェージェンコ | 教師。 |
ネタバレにならない程度に解説。
田舎のソーリン邸で、青年トレープレフがピストル自殺した。検死した医師ドールンは、これは他殺だと言う。
ドールンの推理によって、たちまち化けの皮をはがれる犯人。8パターンの結末で、それぞれの動機が明らかになる…。