TOP >「ロシア国家の歴史」 >炎の指
「ロシア国家の歴史」シリーズの、小説パート第一作。9世紀を舞台にした表題作「炎の指」を始め、11世紀が舞台の「悪魔の唾」、13世紀が舞台の「クランベリー公爵」の三作の中編小説が納められております。
「炎の指」は一番長くて、他作品の倍くらいあります。北欧からやってきたルーシ族の長リューリクが、ロシアの最初の国を作った、という伝説あたりの時代が、ビザンツ帝国人ダミアノスの視点で描かれております。
「悪魔の唾」は、ヤロスラフ賢公の息子スビャトスラブの、世継ぎをめぐる騒動を描いた小品。まきこまれた登場人物5人それぞれの視点で描かれております。
「クランベリー公爵」は、さえない小国のさえない領主イングヴァーリが、寅さんみたいに失踪して戻ってきた兄ボリスラフに振り回される話。最後はハッピーに終わりますが、さえない主人公は、最後までさえないままでいてほしかった。
ということで、いろんな時代の歴史に絡めて、いろんな話を描きだすアクーニン氏の筆力、さすがですね。今後の続巻に期待が持てます。
| ダミアノス | スラブ族に潜入した、ビザンツ帝国(東ローマ帝国)のスパイ。額にシミみたいな点がある。 |
|---|---|
| ゲリヤ | ビザンツ帝国の女スパイ。エチオピア人の美女。 |
| キリアン | ビザンツ帝国のスパイ部隊長官。異民族の女に自分の子供を産ませ、その子をスパイに仕立てる。ということで、ダミアノスもゲリヤも、父親はこのキリアンです。 |
| クーイ | スラブ人パリャーネ族の族長で、キエフの公爵。 |
| ラダスラバ | スラブ族の美女。ダミアノスの夢に出てくる女神に似ている。 |
| ローリク | 北ロシアに移住してきた、北欧バイキングのルーシ族の族長。ロシア語ではリューリクといい、歴史上の人物。 |
| ヘリギ | ローリクの部下。冷徹な切れ者。ロシア語ではオレーグといい、初代キエフ大公となった人物です。 |
| ハスクリド・ジュール | ローリクの部下で、巨漢で怪力で快活。ロシアの年代記では、アスコリドとジールという二人の人物ということになっているが、ジュールというのは北欧語で「野獣の」という意味のあだ名だった、というのがアクーニン氏の説です。 |
| ウルム | ルーシ族の呪術師。盲目の老人。 |
時は9世紀、まだロシア国家が存在しなかった時代、ビザンツ帝国(東ローマ帝国)のスパイ・ダミアノスは、帝国の北をおびやかす新興スラブ族の偵察のため、キエフに向かう。上司の命令で、エチオピア美女のゲリヤも連れて行く。
キエフで、スラブ族よりもさらに危険な北欧ルーシ族が勢力を伸ばしていることを知る。ダミアノスはルーシの部隊長ハスクリド・ジュールに信頼され、ゲリヤは別の部隊長ヘリギの寵愛を受ける。
ダミアノスとゲリヤは、ルーシ族に準備不足のままスラブ族を侵略させ、両部族を共倒れさせようとするが…。
アクーニン作品でおなじみの、画家イーゴリ・サク―ロフ氏による挿絵がついています。
![]() | ビザンツ帝国のスパイ ダミアノス。 |
|---|---|
![]() | 同じくビザンツ帝国の女スパイ ゲリヤ。エチオピアの美女。 |
![]() | スラブ系ポリャーネ族の長クーイ。蛮族と思いきや、智恵者。 |
![]() | ルーシ族の切れ者、ヘリギことオレーグ。 |
![]() | ルーシ族の猛者ハスクリド・ジュール。 |
| アガフォドール | ビザンツ帝国の主教で外交使節。キエフ大公のヤロスラフが、キエフの総主教にビザンツ人ではなくスラブ人を任命しようとしているので、説得する任務でキエフにやってきた。 |
|---|---|
| スビャトスラブ | キエフ大公国の王子。ヤロスラフ賢公の息子。 |
| クート | キエフ宮廷の執事頭。もとはビザンツ帝国の宦官。本名デメトロス。 |
| ジーフカ | キエフの宮廷で小間使いをする少女。 |
| キキーモラ | キエフ宮廷の道化団メンバー。背骨が曲がっている意地悪女。額にシミみたいな点がある。 |
時は11世紀、キエフ大公ヤロスラフのもとに、ビザンツ帝国の使節としてアガフォドールがやってくる。アガフォドールを迎えたヤロスラフの王子スビャトスラブは、勢力の衰えたビザンツ帝国を挑発し、あれこれ嫌味を言う。
それに対し、アガフォドールは機転で応じる。その結果、とある事件が起きる。
それから10ヶ月後、スビャトスラブの妃が出産する。男子を期待していたスビャトスラブだが、残念な結果になる。そこで、宮廷の策士クートは、とある事件の結果、道化の女キキーモラが、同じくスビャトスラブの子を産んだことに目をつけるが…。
アクーニン作品でおなじみの、画家イーゴリ・サク―ロフ氏による挿絵がついています。
![]() | ビザンツ帝国の使節アガフォドール。 |
|---|---|
![]() | キエフの王子スビャトスラブ。 |
![]() | キエフ宮廷を裏で取り仕切る策士クート。 |
![]() | キキーモラ。農村に生まれ、奇形的な身体的特徴があるが、とある事件で王子スビャトスラブの子を産むことになる。 |
| イングヴァーリ | 辺境の公国スヴィリスチェリの領主。貧相で自分を卑下しているが、父や兄が急死したため、公爵位を継ぐことに。額にシミみたいな点がある。 |
|---|---|
| ボリスラフ | イングヴァーリの兄で次男。勇敢で豪快で偉丈夫。冒険のため失踪していた。 |
| ドブルィニャ・プチャーチチ | スヴィリスチェリにずっと仕える老武士。 |
| イリーナ | スヴィリスチェリの隣のラードミル公国の令嬢。超美女。 |
| マヴシーマ | スヴィリスチェリの司祭。 |
| タグィス・ハン | 遊牧民ポーロヴェツ人の族長。 |
時は13世紀、遊牧民が闊歩する草原地帯に近い、辺境の小国スヴィリスチェリ。さえない若領主のイングヴァーリは、内向的な性格ながら、几帳面さを活かして領地を何とか経営していた。
そこに、数年前に失踪した冒険好きの兄ボリスラフが、遊牧民に捕まっているという知らせが届く。莫大な身代金をなんとか工面し、イングヴァーリはボリスラフを助け出す。
豪快なボリスラフは、助けてもらった恩を忘れて、好き放題にふるまう。領地の蓄えを浪費し、若い武士団を味方につけ、ついにはイングヴァーリの恋人イリーナまで奪う。
内向的なので、じっと耐えるイングヴァーリ。しかしボリスラフは、ついに遊牧民タグィス・ハンの使者をぶっ殺し、戦争を引き起こす。
ボリスラフに引きずられて、無謀な戦いに挑むイングヴァーリの運命やいかに…。
アクーニン作品でおなじみの、画家イーゴリ・サク―ロフ氏による挿絵がついています。
![]() | さえない小邦スヴィリスチェリのさえない公爵イングヴァーリ。母の形見の鏡を持っています。 |
|---|---|
![]() | 隣の領地の公爵令嬢イリーナ。 |
![]() | イングヴァーリの兄ボリスラフ。美男で体格がよくて豪快で勇敢。ヨーロッパを放浪し、十字軍とかに参加していた。 |
![]() | スヴィリスチェリの家老みたいなドブルイニャ。遊牧民ポーロヴェツ人との戦いの負傷で、右手は指が二本しかない。 |
![]() | 遊牧民ポーロヴェツ人の使者サトパ。ボリスラフを侮辱してぶっ殺される。 |